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基本情報
PS3版「SIMPLE500シリーズ Vol.2 THE 密室からの脱出」ディースリー・パブリッシャー
配信日:2011年7月6日
販売価格:514円(税込)
ジャンル:脱出アドベンチャー
プレイヤー人数:1人
ストーリー
ある日、目が覚めると僕は旅館の一室にいた。
記憶が定かではないが、おそらく部屋についてすぐに疲れて寝てしまったんだろう。
「ピー、ピー、ピー」どこからか電子音が聞こえた。
携帯電話を確認してみたが、着信ではなかった。
音のした方へと目をやると、そこには冷蔵庫がありドアが半開きになっている。
何か急いでしまったのだろうか、冷蔵庫の容量以上に大きなものが入れられており、そのせいでドアからはみ出ている。
音の原因はこれかと、おもむろに冷蔵庫に入れられているものを取り出した。
それはバッグだった。
少し大きめの革製のバッグ。
チャックを開けて中を確認すると、そこには「凍った盆栽」が入っていた。
「??」 訳も分からずテーブルの上に置く。
「旅館の人に知らせなきゃ」少し考えて冷静になった僕は、旅館の受付へこのことを伝える為にドアへ向かった。
「ガチャガチャガチャ。...」開かない!
内側にはカギの構造が見当たらない。
まさか閉じ込められた!?
おかしな状況に戸惑いながらも、一世一代の脱出劇が今ここに、始まろうとしていた。
ゲーム概要
閉じ込められた空間から様々なアイテムを駆使し、脱出を試みる脱出アドベンチャーゲームです。
3Dで構成された旅館の中で、その場にある様々なアイテムを調べながら脱出を目指します。
アイテムとアイテムを組み合わせたり、本来必要な道具の代用としてアイテムを使ったりして、知恵を絞りながら仕掛けを解いていく楽しさを堪能出来ます。
この手の謎解き脱出ゲームが好きな人は結構いると思いますが、私も好きなゲームジャンルの一つなので、過去にも何種類か同ジャンルのゲームを遊んできました。
その上で本作の特徴と言える部分をいくつかご紹介させて頂きます。
まずプラットフォームが「PS3」であるということ。
私が今までプレイしてきた同ジャンルのゲームは「ニンテンドーDS」でプレイ可能というものでした。
手軽に遊べる快適性を活かされた半面、腰を据えてじっくり考えたいようなゲームプレイにはある意味適していません。
大きなテレビ画面で、コントローラーを握りながらじっくり遊べる謎解き脱出ゲームを探していたところ、本作に辿り着いたわけです。
結果として「PS3」でのゲームプレイは何を行うにも処理が速いですし、グラフィックも奇麗といった機器の性能が活かされているものになっていました。
概ねストレスなくプレイ出来、望んでいた通りの満足出来るプレイ環境だったと言っていいと思います。
そして本作のもう一つの特徴として「衝撃のストーリー」があります。
私がプレイしてきた同ジャンルのゲームには、ほとんどストーリーがないようなものが大半でした。
むしろまったくないものも少なくなかったと思います。
しかし、本作にはミステリアスなストーリーが存在し、ステージ攻略を進めるにつれ、ストーリーも次々と新たな展開を魅せます。
人によっては「この手のゲームにストーリーなんていらない。謎解きを楽しめればいい。」と思う人も多いかと思います。
実は私自身似た感覚でプレイを始めたのですが、このゲーム本来の楽しみ方とは別の位置で発生するミステリアスなストーリーに、次第に魅力を感じ、謎解き以外のストーリー部分にも頭を使わされました。
ゲームの快適性も損なわないよう工夫して仕上げられており、全体的な印象は非常に好感が持てる面白い作りになっています。
探索の為の操作方法もいたって簡単で、表示したい方向へ視点を変更するのに「L1、R1ボタン」、画面内のカーソル移動に「方向キー(左スティック)」、調べたり、項目の決定及びテキスト進行に「〇ボタン」、キャンセル及び戻る動作が「✖ボタン」にアイテム画面を開くのが「△ボタン」、メニュー表示が「セレクトボタン」です。
謎解き以外にも楽しめる衝撃のストーリーとツッコミ要素が満載の面白い作品なので、同ジャンルのゲームが好きで、大きなテレビ画面で遊びたいなと思っていた方には是非ともプレイして頂きたい作品です。
レビュー
レビューまでの総プレイ時間:7時間
ゲームの魅力や楽しいポイント
難解過ぎる謎と衝撃のストーリー
この手の謎解き脱出ゲームを好きな人には、ある程度満足出来る(結構難しい?)内容になっています。
謎解き脱出ゲームを割とプレイしている私にとっても、かなり難解な謎が多く頭を悩ませました。
またゲーム本来の謎解きや仕掛けと直接的な関係性は薄いですが、非常に面白い「ミステリアスなストーリー」があります。
むしろこのストーリーを紐解くこと自体も謎解きであったと言えるかもしれません。
この「ミステリアスなストーリー」と過剰表現とも取れる緊迫感や雰囲気を醸し出したBGMで、一気にゲーム内へと引き込まれます。
途中、「これなんなの?脱出ゲームじゃなかったっけ?」と思わせるような展開も盛り込まれ、単純に仕掛けを解き脱出するだけのゲームではないことをプレイヤーは思い知るハズです。
この点、私は良い意味で裏切られ、期待していた以上に楽しませてもらえました。
通常、仕掛けを解くことに必死になって、だんだん頭が疲れてしまうところを興味をそそるストーリーを緩衝材にすることで、ただのアイテム探しではなく、「ストーリーを紐解くヒントもないか?」という目線で探索することになり、結果的に作業感がなくゲームにも引き込まれ、楽しみながらの謎解きを可能にしています。
この独特のゲームデザインは個人的に面白いと思えたもので、また同じような作品があればプレイしたいと思わせるほど楽しめる内容でした。
具体的なストーリーや特殊なゲーム要素はネタバレの為ここでは言及しませんが、このミステリアスで衝撃的なストーリーを読み解くだけでも相当楽しめる作品となっています。
難易度
かなり難しい部類の謎解きになっていると思います。
しかしながら、ただ難しいだけではなく、笑える要素も数多く散りばめられていて、難しさが苦痛にならないような工夫が随所に感じられました。
遊びやすさ
セーブはメニュー画面からいつでも可能。
「行き詰ったら休憩し、思い付いたらプレイ再開」を気軽に繰り返せます。
操作方法も簡単で誰にでもプレイ可能なので、遊びやすさは満点です。
ボリューム
全4ステージ。
難易度変更などの要素はありません。
4ステージに分かれてはいますが、ストーリーの進捗に合わせて新たなステージが出現する仕様です。
テンポの良さ
操作に対するレスポンスも良く、視点切り替えやエフェクト変化もスムーズです。
捜索のテンポを妨げる要因もなく、ほとんどストレスなく快適にプレイ出来ます。
熱中度
プレイし始めると時間も忘れて熱中してしまう...。
個人的には非常に熱中度の高い作品でした。
謎解きのヒント
詰みそうになる高難度の謎がいくつか存在します。
何をすればいいか全くわからなくなった時には、以下のヒントを参考にしてみてください。
その場を離れて他を探索する
わからない謎に行き詰まったらまずはその場から離れ、他の場所の捜索に移りましょう。
本作ではその場の情報と知恵だけで回答が導き出せる仕掛けは限られています。
ほとんどの場合、点在する情報やアイテムを組み合わせて1個所の謎を解きます。
しかも「解く仕掛けとヒントになる情報が離れている場合が多い」ので注意が必要です。
なので、まずは「他に手掛かりがないか今一度良く調べた上で情報を整理」し、「どの個所の仕掛けを解くための情報なのかを改めて考えてみる」と答えに近づけると思います。
アイテムを選択したまま探索する
使用(選択)しているアイテムによって通常とは違うテキストが表示される個所が多く存在します。
なので「基本的に必ずひとつのアイテムを使用(選択)状態にしながら探索する」と効率がいいと思います。
テキストに通常とは違う変化があれば、自ずと解答に近づけるハズです。
何をすればいいのかまったくわからなくなった状態でも有効で、すべての所持アイテムを一通り選択しながら探索個所を一巡りすれば、必ず何かヒントが得られると思います。
取得したアイテムは「よ~く調べる」
取得したアイテムには調べることで変化を起こせるものが数多くあります。
概ねアイテムを適当に調べると怪しい部分はテキストで示唆してくれますが、まったくノーヒントの場合も少なからずあります。
そのため、取得したアイテムは隅々まで少しずつポインターを動かしながら何度も調べましょう。
普通は気にも留めないようなちょっとした部分が、取れたり動いたりするかもしれません。
以上のポイントに注意しながらプレイを進めれば、概ねスムーズに攻略出来ると思います。
最後まで諦めず、自力でのクリアを目指して頑張って下さい。
まとめ
総評まとめ【70点】
謎解き脱出ゲームなのですが、ストーリーが本当に面白かった作品です。
この手のゲームは、大抵ストーリーを重視していない、もしくはストーリーのないものがほとんどだと思うので、本作ではあまりにも意外なところで楽しませてもらいました。
真剣に謎を解くために考え込む中、何度もツッコミたくなるような場面に出くわします。
陰鬱なイメージも皆無で、むしろ笑いながら謎を解く脱出ゲームというもので、この手のジャンルが好きなプレイヤーには是非とも体験して欲しいと思える面白い作品です。
最後までご覧頂きありがとうございました。