基本情報
PS3版「rain」ソニー・コンピュータエンタテインメント
配信日:2013年10月3日
ジャンル:アクションアドベンチャー
プレイヤー人数:1人
ストーリー
ある日、少年は雨の中にたたずむ「透明な少女」を見つけた。
透明なのになぜ見つけられたか。
それは降りしきる雨が少女の輪郭を映し出していたから。
少女は「透明な怪物」に追われていた。
少年は家を飛び出し、彼女を追いかける。
そしていつのまにか、普段の街とは違う、不思議な世界へと迷い込んでしまった。
誰もいない。
雨音だけが静かに響く、時間が止まったような薄暗い夜の世界。
いつしか少年自身も「透明な姿」になっていることに気がつく。
不思議な世界に迷い込んだ少年は、不安と好奇心に包まれていた。
少女を追いかける怪物の進行を妨げながら、少年はただ目の前を走り去る少女を追いかける。
雨中に見え隠れする、彼女の輪郭だけを頼りに...。
ゲーム概要
ステルスアクションの要素を多く含んだ謎解きゲームです。
透明な怪物から逃げ延び、不思議な世界からの脱出を試みるというもの。
「雨の中で行う透明なキャラクターどうしの鬼ごっこ」といったところでしょうか。
ゲーム攻略の肝となるのは雨。
怪物に見つからないよう進むことになりますが、雨にうたれている状態だと姿が見えてしまい怪物に見つかってしまいます。
建物の屋根下などに隠れ、姿を消しながら進むというのがこのゲームのコンセプトです。
やっかいなのは怪物も透明であるということ。
操作キャラクターが見えない場所は敵もまた見えません。
雨の届かない場所での索敵は、水たまりやまわりの物の動きで行わなければなりません。
見えない敵に怯えながら進める感覚、隠れる場所を探しながら恐る恐る進行する緊張感は独特のものがあります。
シンプルなゲームデザインであるため、誰にでもプレイしやすい作品です。
所謂フルプライスの作品ではなく「配信版1,429円(税抜)」「パッケージ版2,200円(税抜)」という価格設定です。
当然、通常のゲーム程のボリュームはないのでその点を踏まえて評価していきます。
レビュー
レビューまでの総プレイ時間:5時間
ゲームの魅力や楽しいポイント
隠れて進む緊張感
『メタルギアソリッド』のように「見つかったら最悪やってやる!」みたいな気持ちではプレイ出来ません。
見つかったら上手く逃げ切らないと、すぐにゲームオーバーになってしまいます。
それ故の高い緊張感が魅力です。
隠れ方にも機転が必要で、アクションと思考の瞬発力が上手く融合した面白さだと感じます。
美しく引き込まれる世界観
本作にはこれと言って明確なストーリーはありません。
しかし、何もわからないからこそふと迷い込んだ謎多き世界に心奪われることになりました。
目に映るはヨーロッパの伝統的な街並み。
街全体がアンティークと呼べるような美しく魅力的な世界。
そんな世界に散りばめられた演出のひとつひとつが、まるで絵本の中の1ページのように感じられます。
ゲームの主人公と同じように不思議な世界で迷子になった「不安感」と、先の世界を知りたくなる「好奇心」が、気づけばシンクロしています。
まるで不思議な世界の物語を少しずつ読み解いていくような、そんな感覚でプレイ出来る作品です。
カスタマイズ性
ありません。
オプションで変更出来る項目は「コントローラーの振動」「画面の明るさと位置」この二つだけです。
しかし、おおよそ変更が必要なボタンなどもないので、操作に関して気になることはありません。
感覚として上質なグラフィックで奥行きのあるファミコンゲームと思えます。
簡素な故、誰にでもプレイ可能ですが、人によってはかなり物足りなく感じる部分でもあるかもしれません。
難易度
簡単な部類に入るゲームです。
ゲームの攻略による達成感を味わうよりも、雰囲気を楽しむゲームと言っていいと思います。
ある程度コントローラーの操作に慣れた子供であればクリア出来ると思えるくらいの難易度です。
遊びやすさ
ストーリーがほぼないため、言ってしまえば明確な区切りがありません。
ここは人によって意見が分かれそうですが、区切りがないことでちょこちょこプレイ出来るか、区切りがないことで中断するタイミングを見失うかです。
私の場合は後者の感じ方が強かった為、一気にクリアするまでプレイしてしまいました。
ゲーム自体の遊びやすさ、とっつき易さという意味では最高値に近いです。
使用するのは「方向キー:移動」と「☐ボタン:ダッシュ」と「✖ボタン:ジャンプ」だけ。
ファミコンゲーム並みの簡潔な操作方法で、これ以上なく手軽にプレイ出来るゲームです。
ボリューム
本編をクリアするのにおよそ2時間。
一部攻略に悩んでも3時間弱といったところでしょう。
価格を考慮すれば仕方ありませんが、一般的なゲームに比べて少ない方だと言わざるを得ません。
本編以外に遊べるモードもなく、クリアすれば満足という方には本編一周でゲームが終わってしまい物足りない印象を受けるかもしれません。
自由度
ありません。
本編の攻略もシナリオも一本道です。
ゲームを有利に進める為に役立つプレイヤー能力
特殊なゲームデザインの中でのプレイになります。
「機転の良さ」や「思考力」など、単純なコントローラー操作技術よりも頭を使うゲームと認識していいです。
『ICO』のような謎解きが得意。
『メタルギアソリッド』のステルスアクションが得意といった人には、特に簡単に感じるでしょう。
テンポの良さ
ストーリーの区切りがないのでゲームの進捗状況がつかめません。
そのためテンポが良いという感覚は得られませんでした。
ただ、謎解きの頻度や配置バランスが良いので、進行上ストレスに感じるような個所も少なく、プレイしていて気持ちの良さはありました。
熱中度
わからない世界の先をどんどん知りたくなる「好奇心」を掻き立てられ、熱中度は高いように感じました。
煩わしい課題や難解な操作、理解出来ないストーリーなど、ありがちなマイナスポイントがすべて排除されている分、プレイ自体に集中出来たことが大きな要因のひとつかもしれません。
やり込み度
ありません。
私の場合、一周目は世界観と謎解きを楽しみながらプレイし、二周目はトロフィーコンプを目指しての攻略プレイをしました。
トロフィーにこだわりのない方であれば、やり込み要素はほぼないと言っていいです。
まとめ
総評まとめ【70点】
評価する項目上、足らない部分ばかりが印象に残ってしまいそうですが、プレイする価値がないようなゲームでは決してありません。
魅力として挙げています「プレイヤーを選ばず誰にでも遊べるゲームシステム」や「引き込まれる世界観」「良質な謎解き体験」はすべて印象に残るほど良い作りでした。
一般的なゲームソフトのフルプライス半分以下の価格で、このゲーム体験が出来るのならば安いとも思える作品です。
良い作品なだけに私は正直フルプライスでも良いので、もっと世界観と謎を掘り下げ、追究出来るストーリーにし、ボリュームアップを図ったものにして出して欲しかったです。
総評として、少なからず他のゲームと比較してしまってこの点数ですが、一作品の満足度としてはもっと高いと思えるものでした。
現在はパッケージ版も販売されているので、気になっている方には「900円を切っていれば買い」だとお伝えしておきます。
最後までご覧頂きありがとうございました。