プレイステーション専用タイトルとして現在でも高い人気を誇る「アンチャーテッド」シリーズ。
世界的な人気タイトルとなった「アンチャーテッド」ですが、その記念すべき第1作目が『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』です。
「クラッシュバンディクー」シリーズや「ジャックxダクスター」シリーズを制作してきた「ノーティドッグ」が、プレイステーション3用ゲームとして初めて手掛けるタイトルとなりました。
続編のシリーズタイトルに比べシステム面で粗削りな部分や演出面の物足りなさは確かに感じますが、それでも「アンチャーテッド」シリーズの基礎はこの時点でしっかりと出来上がっています。
今回「アンチャーテッド」シリーズ3作品をプラチナトロフィー獲得まで一気にプレイしてみました。
3作品通してプレイしたからこそ感じた違いや、良い点、悪い点を以下にレビューしていきたいと思います。
基本情報
PS3版「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」
開発元:ノーティドッグ
販売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日:2007年12月6日
ジャンル:アクションアドベンチャー
プレイヤー人数:1人
ストーリー
16世紀の伝説的な冒険家であり、私掠船の船長でもあったフランシス・ドレイク卿。
主人公はフランシス卿の子孫を自称する若きトレジャーハンターの「ネイサン・ドレイク(通称:ネイト)」。
物語はネイトがパナマ海岸沖に埋められたフランシス卿の棺を発見することから始まる。
考古学番組「アンチャーテッド」の司会を務める「エレナ・フィッシャー」の同行のもと、同番組からの資金援助により400年以上の時を経て、ついにネイトはフランシス卿の棺を発見する。
しかし、発見した棺の中にはフランシス卿の遺体はなく、フランシス卿のものだったと思われる一つの手記だけが収められていた。
ネイトが手記を確認すると、なんとその手記には伝説の秘宝が眠るといわれる幻の黄金卿「エル・ドラド」にまつわる手がかりが記されていた。
当然手がかりをもとに財宝を目指すネイトと相棒の「ビクター・サリバン(通称:サリー)」だったが、予期せぬ来客に財宝に関する情報を奪われてしまう。
「やつらが見つけ出す前に手に入れる」
今ここに、財宝をめぐり想像を絶する陰謀と多くの謎を解き明かす危険な冒険が始まろうとしていた。
レビュー
レビューまでの総プレイ時間:約30時間
ボリューム:★★★☆☆
グラフィック:★★★★☆
サウンド:★★★☆☆
操作性:★★★☆☆
熱中度:★★★☆☆
継続性:★★★☆☆
満足度:★★★☆☆
特に良かった点
キャラクターの動き
既に「ラストオブアス」をプレイ済みでだったこともあり、そこまで大きな感動はありませんでしたが、他のゲームと比べて圧倒的に作り込まれていると感じる部分であることに変わりはありません。
おそらく最近のゲームでも、キャラクターを移動させた時の挙動は『歩く』『走る』『ジャンプ』くらいで制御されていると思います。
その点この「アンチャーテッド」シリーズはアクションゲームをしていてよく感じる「違和感」を極力排除するため、実に様々な動きを導入してキャラクターのリアリティを表現しています。
具体的に言葉で表現することが難しいですが、例えばジャンプ操作一つとってもそうです。
毎回同じモーションのジャンプで大きな段差から小さな段差まで飛び越えるゲームとは違い、オブジェクトとキャラクターの間合いや高低差によって『乗り越える動作』『飛び移る動作』『乗り上げる動作』と実に様々に変化します。
操作するボタンが一種類でも、これだけバリエーション多くの動きを見せてくれるゲームはそうないと思います。
ただ『歩く』『走る』にしても、急に方向転換すると足がもつれたり、体が壁に接触しそうになると体と壁との間にさりげなく手を置いたり、勢いよくぶつかると態勢を崩したりします。
もちろん自分で操作しているキャラクターなのですが、ある意味ゲーム画面の中で本当にそのキャラクターが生きているような感覚さえ覚えます。
そしてこのキャラクターのリアリティは「アンチャーテッド」シリーズの発展と共に常に進化を続けている部分でもあります。
感動すら覚える生き生きとしたキャラクターの動きに誰もがゲームに引き込まれるでしょう。
自由に喋りまくるキャラクター
生き生きと動き回るキャラクターに文字通り命を吹き込む「声」。
「アンチャーテッド」シリーズは英語音声の他、日本語音声にも対応しており、ゲーム中の会話劇は実に自然で心地よく、キャラクター達の個性を存分に引き出しています。
ゲームでよくある「主人公が一人怪しい行動をとっていても、冷めた目線を送りつつ黙々とついてくるパーティ一行」の様子はありません。
「アンチャーテッド」シリーズでは、主人公が変な行動をとっていたら「なにやってんだネイト!」とか「そっちじゃない!こっちだ!」とか怒られてしまいます。(笑)
ごく自然な会話の延長線上で、進行に関わるヒントを与えてくれたりするんですね。
他にたくさん散りばめられた「なんの意味もない昔話」や「雑談」によって、制作側が意図して考えたプレイヤーの誘導も至って自然に感じてしまうわけです。
ゲームプレイ自体は1人プレイ専用のゲームなのですが、どこか1人でプレイしていないような感覚になり、1人プレイとは思えない独特な楽しさがあります。
この自然な会話劇も「アンチャーテッド」シリーズの魅力のひとつであり、もちろん今も進化し続けている部分でもあります。
グラフィック
PS3版「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」は、PS3発売初期の頃に発売されたタイトルですが、フィールドの作り込みや完成度は10年経った今も色褪せない出来だと個人的には思います。
本編クリア後に楽しめる特典として「メイキングビデオ」がありますが、そのなかで制作スタッフが強く語っているのが「水の表現」です。
PS2からPS3へとハードの進化によって可能となった画期的な面だと着目し、「アンチャーテッド」シリーズでは「水の表現」を駆使した場面に多く遭遇します。
そして「水」自体の表現もさることながら、水に触れた岩肌や衣服に至っても細かい「濡れ表現」が設定されています。
一番最初に探検することになるジャングルで、美しい緑と優雅に表現された水、そしてその水に触れたときに濡れた衣服を見て思わず感動した記憶は今も忘れません。
PS3発売初期のタイトルでありながら、PS3の能力を限界まで引き出し描かれた世界は「PS3はここまでのことができる!」とプレイヤーに強烈な印象を与え、その後のPS3タイトルにもある種の基準をもたらしたといえる圧倒的な表現力でした。
特に悪かった点
実際にプレイしていて「特に悪かった点」として感じた部分は少ないです。
ある程度思い通りにキャラクターを操作できますし、バグや処理落ちもほぼないといっていいと思います。
ただ、後述する「他シリーズとの比較」で詳しく説明しますが、物語自体とても面白いですが操作パートでの面白味がそれほど感じられず、「戦闘、戦闘、謎解き、戦闘、戦闘、謎解き......」と同じ行動の繰り返しが基本です。
なので、敢えて「特に悪かった点」を挙げるとすれば「単調である」というところでしょうか。
実質アクションゲームで「単調である」ことは、かなり致命的欠陥でもあると思いますが、上記に示した「特に良かった点」によりギリギリ相殺してプレイを続行することができたと思います。
現在では「アンチャーテッド」シリーズ=「PLAYする映画」というキャッチコピーも浸透し、事実その看板に偽りのない作品に仕上がっています。
ただし、本作に限っては他のシリーズ作品と比べ演出面においてまだまだ物足りないといえるでしょう。
って、そもそも一番最初の作品なんだから仕方ないんですけどね。(笑)
他のシリーズとの比較
お待たせいたしました。
3作品通して一気にプレイしたからこそ感じるシリーズ内の比較をしてみたいと思います。
「1(エル・ドラドの秘宝)→2(黄金刀と消えた船団)」と順当にプレイしようとお考えの方は、この比較を確認して「1作目は単調だったし2作目はもういいや」とは絶対にならないでください。
「アンチャーテッド」シリーズは「2(黄金刀と消えた船団)」で覚醒します。
そして「2(黄金刀と消えた船団)」という大作をプレイして楽しかったから「1(エル・ドラドの秘宝)」をプレイしようとお考えの方は、この比較を確認して覚悟してください。
それではいってみましょう。
システム面の不備
実際このシステム面の不備から、個人的にシリーズ内最も難易度が高く感じます。
特に本作でムカついたけど以降の作品で改善されたものとして「壁に張りつく→構える→撃つ→撃ちながら移動したい(✖出来ない)」があります。
要するに隠れるを押してから移動するには射撃を一時止めないといけないということ。
以降の作品では隠れている状態で射撃しつつ動くことができるようになっています。(感動しましたw)
正直難易度が上級やプロになると、隠れた状態から体を思いっきり露出して射撃する「隠れ構え撃ち」はほとんど使えないのですが、どうしても隠れなくてはいけない状況もあります。
上記の通り1(エル・ドラドの秘宝)の仕様では「隠れ構え撃ちしながら後退する」ことができなく、否応にもストレスを感じる場面があると思います。
さらに難易度が上昇する程に「いや~、離れね~」という場面が多くなってくるので注意が必要です。
敵のエイムがシリーズ最高精度
これまた本作が個人的にシリーズ内最高難度と感じる所以です。
難易度プロで上記にあげた「隠れ構え撃ち」を多勢の敵に行った場合、1秒持たずに死にます。(笑)
なので基本的には自分と敵の間の射線上に壁を挟んで、自分は敵をギリギリ補足できるところ(銃の持ち替え必須)からチクチク1人づつ倒すという流れになります。
それでも一気に突っ込んでくる敵や裏取りしてくる敵には、素早く隠れて「隠れ撃ち(構えない)」で撃退しましょう。
離れている敵にはほとんど当たりませんが、ある程度近い敵には結構な確率でヒットします。
って、攻略記事みたいになってしまいましたが、とにかく敵のエイム精度がエグイ。
ちょっとでも姿を出したらハチの巣です。
以降の作品では、難易度プロで「隠れ構え撃ち」を多勢の敵に行っても、3秒前後は持った印象です。(笑)
グレネード使用時はモーションセンサー付きコントローラー必須
以降の作品では一般的なTPS作品同様に「右スティックでのグレネード投擲位置の調整」が可能ですが、1(エル・ドラドの秘宝)ではできません。
私はモーションセンサー機能がないホリパッドを使用していたので、ほぼグレネードを使わずにクリアしました。
どうしてもグレネードが使えないと厳しい場面では、その時だけ純正コントローラを使用して対処した感じです。
プラチナトロフィー獲得のために必要なグレネード関連のトロフィーもあり、ひと手間掛かりました。
あとバランスを取りながら細い場所を移動する時なんかもモーションセンサーを使用します。
これはバランスが取れなければ足を滑らせるのですが、結局一気に進んでしまえばなんとか渡り切れてしまうので特に問題ありませんでした。
ホリパットに慣れてしまうと、純正コントローラのスティックがスカスカなんですよね。(笑)
演出面の不足
「特に悪かった点」でもお話ししましたが、以降の作品と比べてしまうと圧倒的に演出面が物足りません。
以降の作品で頻発する、操作しながら「あわわ、あわわわわ......」という状況がほとんどありません。
体感的には2(黄金刀と消えた船団)の演出の「10分の1」程度しか1(エル・ドラドの秘宝)では危機的状況を味わえないと感じました。
まとめ
PS3版「アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝」【評価:75点】
世界的人気シリーズの記念すべき第1作目は気持ち「おとなしめ」の作品でした。
それでも美麗なグラフィックや独特の会話劇、映画感は既に完成していてストーリーも面白いものでした。
以降の作品に比べて多少やりずらいと感じる部分は確かにありますが、ただ、シリーズを通してプレイするのであれば「これはあくまで序章」っといった趣もあります。
なのでプレイする際は「1(エル・ドラドの秘宝)」から始めることを強くオススメしたいと思います。
そして以降の作品では実に快適に、そして超絶楽しいゲーム体験が待っていることをお約束します。
最後までご覧頂きありがとうございました。