基本情報
PS3版「チャイルド オブ ライト」ユービーアイソフト
配信日:2014年5月1日
販売価格:1,598円(税込)
ジャンル:2D RPG
プレイヤー人数:1人 or 2人(協力プレイ) ※2P側はイグニキュラスの操作のみ可能
ストーリー
ある日、目を覚ますと少女は「レムリア」という見知らぬ世界に迷い込んでいた。
少女の名は「オーロラ」。
オーロラは慣れ親しんだ故郷と似ても似つかぬこの世界に不安と恐怖を感じずにはいられなかったが、父の待つ元の世界へと帰るため行く当てもなく歩き始めた。
程なくしてオーロラはある人物より、この世界が闇に包まれているということを聞かされる。
闇の女王なる者に、太陽と月と星を奪われたからだというのだ。
はじめは「自分には関係のない話」と思っていたオーロラだが、この世界に暮らす人々の話を聞くうち、純粋な心を持つ彼女は自らが奪われた3つの光を取り戻すため、闇の女王を倒す旅に出ることを決意する。
そんな彼女を陰から支えるのは、どこからともなく現れた光るホタル、「イグニキュラス」。
オーロラとイグニキュラスは、お互いに力を合わせ、闇に包まれたこの不思議なレムリアの地を救うべく冒険していく。
旅の中でさまざまな人や奇妙な生き物たちと出会い、いつしか迷子から世界を救うべく現れたプリンセスへと成長していくオーロラ。
果たして彼女は、このレムリアの大地に再び光を取り戻すことが出来るのだろうか...。
ゲーム概要
ターン制コマンドバトルを採用したRPG作品。
開発は日本国外のスタジオですが、そのシステムはJRPGの影響を色濃く受けており、古くからJRPGに親しんできたプレイヤーには、懐かしさすら覚える作品になっています。
本作の一番の特徴は、なんといってもそのグラフィックです。
まるで油絵で作られた絵本や絵画を見るかのように美しく表現された世界。
息をのむグラフィックで本作ならではの幻想的な魅力に満ちたレムリアの大地を隅々まで堪能することが出来ます。
レビュー
レビューまでの総プレイ時間:12時間
ゲームの魅力や楽しいポイント
観ているだけで癒される美しくも危うい世界
闇に包まれた陰鬱な雰囲気は残しつつ、それでいて幻想的な魅力に溢れたレムリアの大地。
私が本作をプレイしてみたくなった大きな理由である圧倒的優美なグラフィックは、誰にとっても心奪われる素晴らしいものであることは間違いないでしょう。
今までにプレイしてきたゲームの中でも、特に美しく表現された世界だったと確信出来るほど圧倒的魅力に溢れたグラフィックです。
この美しい世界を堪能する為だけでも、本作をプレイする意義はあると思います。
良く仕上げられたバトルシステム
基本はJRPGお得意のターン制コマンドバトルですが、イグニキュラスを用いたモンスターへの「ウェイト妨害」と選択行動をキャンセルさせる「キャスト妨害」がプレイヤーを飽きさせない素晴らしいバトルシステムへと昇華させています。
まるで「グランディア」のクリティカル妨害をより戦略的にしたものに感じられました。
本当に素晴らしいシステムなので以下で詳しく紹介したいと思います。
まず、一つの大きなアクティブタイムバー(FF的に言ってます)が画面上にあると思って下さい。
このタイムバーの左側(全体の4/5)が「ウェイト」、右側(全体の1/5)が「キャスト」となっています。
タイムバー上に敵味方すべてのキャラクターアイコンがバラバラに表示され、時間経過とともに左から右へと移動していきます。
アイコンはそれぞれのキャラクター特性に合ったスピードで移動し、右端まで行くと選択した行動を実行出来るシステムです。
「ウェイト」は単純に行動選択までの待ち時間で、「キャスト」は入りで行動を選択し出口(タイムバー右端)で実行する、行動選択と実行のパートです。
イグニキュラスによる「ウェイト妨害」は、とりついた敵のタイムバー進行速度を著しく低下させます。
そして「キャスト」内に敵のアイコンがある時に味方キャラクターの攻撃がヒットすると「敵の選択していた行動をキャンセル出来る」これが「キャスト妨害」です。
要はイグニキュラスを使った「ウェイト妨害」で敵のタイムバー進行速度を調整し、「キャスト」内にいる敵を攻撃して「キャスト妨害」、敵の攻撃を一方的に封じることが出来るわけです。
敵の攻撃と言いましたが、味方の攻撃や行動も同じ原理で妨害されるので条件は同じです。
更に防御だけは「キャスト妨害」されず即実行され、次の行動選択までの時間が短縮されます。
普段のターン制コマンドバトルでほとんど使うことのない「防御」に、こんなにお世話になったゲームは他にありません。
これが敵の数が増えたり、進行速度の速い敵が出てきたりすると、非常に戦略性の高いバトルになります。
もちろんボスとのバトルでは特に高い戦略性が必要となり、さながら戦略シミュレーションかと思うようなバトルが展開します。
私はこのバトルシステムが非常に面白く、とても楽しめました。
このバトルシステムによりバトルが単調になることも、退屈になることもありませんでした。
今後発売するターン制コマンドバトルのJRPGは、全部このシステムにして欲しいと思ったほどです。(笑)
カスタマイズ要素
武器や防具を変えるという概念はないのですが「オキュライ」と呼ばれる宝石を装備して攻撃力・防御力を上げたり、属性を付与したりすることが出来ます。
またこの「オキュライ」は数に限りがあり、高い性能を有す上位の「オキュライ」を生成するには、下位の「オキュライ」を合成して作らなければなりません。
合成後の分解が出来ないため、よく考えて「オキュライ」を合成しなければいけないことも、面白いカスタマイズ要素のひとつです。
また、キャラクターの強化はスキルツリー方式で行われ、3本以上のスキルルートに分かれていて、何を優先してキャラクターを強化するか頭を悩ませることになります。
結果としてプレイヤーそれぞれが育成したカスタマイズキャラクターが自然と出来上がる仕様になっています。
難易度
「カジュアル」「エキスパート」と二つの難易度を選択可能ですが、どちらも適度にレベルアップを行っていけばさほど難しい難易度ではありません。
ただ、特徴のあるバトルシステムを採用しているため、なにも考えないで「物理で殴れば」勝てるかというとそうではありません。
そう考えると、多くのJRPGよりは難易度が高い戦略的RPGと言えるかもしれません。
遊びやすさ
本作は手動セーブをどこでも行えますし、少し長い距離を移動してはオートセーブ、戦闘が終ってはオートセーブと、常に進行データを自動的にバックアップしてくれています。
パッとやって、適当にプレイをやめてもセーブされていますし、非常に短時間でも問題なく遊べます。
最近の携帯ゲームのような手軽さで、とても遊びやすいのではないかと思います。
ボリューム
RPGでありながら、初見プレイでも10時間強でクリア出来てしまいます。
ボリュームに関しては少ないと言わざるを得ないでしょう。
次回作に期待したいです。
自由度
攻略するステージや味方キャラクターを仲間にするかどうかすら選択出来ます。
やろうと思えば誰一人仲間にせず、たった一人で闇の女王に挑むということも可能です。
ゲームを有利に進める為に役立つプレイヤー能力
独特のバトルシステムが為に高い「戦略的思考力」が試されます。
他にもフィールドには若干の謎解きやトラップが設置されているので、それを突破する「パズル的思考力」と「キャラクター操作技術」も多少ながら求められるかもしれません。
テンポの良さ
ストーリーのボリューム自体が少ないので話の展開は非常に速くサクサクと進みます。
熱中度
美しく表現された世界のグラフィックと独特のバトルシステムで非常に熱中出来ました。
終始、ゲームの世界に引き込まれます。
テンポの良さと相まって非常に高い熱中度のある作品だと言えるでしょう。
やり込み度
やり込み要素はほぼありません。
トロフィーも概ねストーリーを一周クリアする頃には獲得出来てしまうものがほとんどです。
ただし、自由度の高さを利用し自ら設けた縛りでプレイする「縛りプレイ」を行えば十分に楽しめる作品になると思います。
プレイヤー自身にやり込み度も委ねる自由っぷりです。(笑)
まとめ
総評まとめ【80点】
なかなか傑作なRPGでした。
美しいグラフィックや良く練り込まれたバトルシステムが秀逸なだけに、ボリュームだけが不満点として残る作品です。
アクション性よりも戦略性の高いゲームなので、頭を使った闘いが好きな方には是非ともお勧めしたい作品です。
最後までご覧頂きありがとうございました。